序章

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俺の命もここで終わりか……。 所詮、俺は出来損ないだ。 足音……? 人間か。 近寄るな、最期ぐらい一人で逝きたいんだ。 「だいじょうぶ!?」 俺に近寄るな。 ……もう、傷付きたく無い。 差し出された手を、爪で引っ掻いた。 「だいじょうぶだよ。ひどいことしないから」 誰がそんな言葉信用するものか。 人間も妖も、どうせ裏切るんだ……。 「なにもしないよ!だから、てあてさせて」 手当て……? 俺なんかに誰がしてくれる。 そんな奴いるわけがないんだ。 「なかないで……?だいじょうぶだから」 何かに包まれた。 暖かい……。 目から雫が零れ落ちる。 …………嗚呼、死にたくない。 助けてくれ…………人間……。
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