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意外にもすぐに少年占い師は俺の要求を受けてくれた。少年占い師が言うように俺は懲りずに占いに依存する。私生活のこと、仕事のこと、将来のこと、一つ一つを丁寧に占ってもらい幸せに導いてもらう。結局のところ復讐劇は俺の幸せだけを求めていた。
復讐劇のシナリオは苦しめられた相手を苦しめ、俺が最後の最後には幸せにくらせましたとさ、めでたし、めでたしというハッピーエンドを待っている。
俺の占いを終えた少年占い師は最後にこう告げた。
「最後に、おじさんに重要なことを伝えておきます。幸せになりたいという欲望の先には今日感じたような一寸先も見えない闇です。一番の幸せは少し不幸であるということ。この言葉を胸に刻んでおいてください」
少年占い師が言った最後の言葉は十六年前の老婆占い師に言われた「お前さんのような若い者はここに来てはならん」という言葉に似ている気がした。気のせいかもしれないが――。
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