第一話 「占い」

4/4
前へ
/13ページ
次へ
 最初の頃はたまに当たって凄いなと、素直に感銘を受けたものだ。次の言葉、次の占いではどんなものが俺の前に現れるのかとウキウキすらもしていた。でも、それは少し過剰評価をしていたのかもしれない。  次第に占い通りにこなしても良い方向に向くどころか、全てが真反対の悪い方向へと進む。「どうしてこうなるんだ!」と占い師に問い詰めても、「それはあなたが私の占い通りにしなかった」という何とも言い訳がましい言葉が返ってくる。  私生活では妻の浮気が原因で離婚。仕事も真面目に働いていたのに万年係長で気づけば後輩に上司が増えている状態。次に結果を出さなければクビというところまで来ていた。  俺はただ普通に幸せになりたかっただけだった。真っ暗闇でどっちの道に進むべきか自信をもてなかったから「こっちだよ」って道を示してくれているだけで良かったのに平凡な幸せすらも失った。    結論、あいつら占い師は所詮言葉を巧みに操るペテン師に過ぎなかったのだ。俺は復讐という形で彼らに俺の味わった屈辱を同じように味あわせてやる。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加