1.この熱を感じられるだけでいい

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○。 杉浦くんと出逢ったのは、桜が舞い降りる春の日だった。 その日は杉浦くんの大学の入学式の日。 私はサッカーサークルのマネージャーをしていて、サークルの勧誘をしている時に杉浦くんと出逢った。 月日が流れ、杉浦くんとの“ある関係”が始まったのは、私が大学4年生、杉浦くんが大学2年生の夏。 杉浦くんには高校の頃から付き合っている彼女がいたんだけど、その夏、別れてしまって。 その寂しさを埋めるように、私と杉浦くんは体の関係を持ってしまった。 杉浦くんにしてみれば、彼女と別れた寂しさを埋めてくれる存在なら誰でも良かったんだと思う。 ……言うなれば、その場の雰囲気、からだった。 でも……実は私は出逢った時からずっと、杉浦くんのことが気になっていて。 杉浦くんには彼女がいるからとその想いに気付かないふりをしていたのに、この日、「一緒にいてほしい」と訴えてくる杉浦くんを受け入れてしまった。 ……杉浦くんが好きだという想いを止められなかった。 それが今も続く、私と杉浦くんの“人に言えない関係”のはじまり。 つまり私と杉浦くんは、セフレの関係。 杉浦くんと出逢ってから7年半、はじめて体を重ねてから6年。 お互いに社会人になった今でも、杉浦くんとのセフレという関係は形を変えることなく続いていた。
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