1.この熱を感じられるだけでいい

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杉浦くんは私の想いを知らない。 私の想いを知られてしまえば、この関係は終わってしまう。 だから、私は杉浦くんへの想いを隠したまま、体を重ねるたびに杉浦くんに溺れていくのを感じながら、彼に抱かれる。 地元で働くことを決めたのも、会社に魅力を感じたこともあったけど、杉浦くんと少しでも長く居たかったから。 その2年後、幸運にも、杉浦くんもこの土地で就職を決めて。 お互いの仕事のことはほぼ知らないまま過ごしていると、杉浦くんは転職したらしく、去年の11月からMRとして偶然にもうちの会社に訪れるようになった。 スマートに仕事をしている姿やスーツ姿という目に見える部分も素敵だと思う。 でも、穏やかな雰囲気や性格を持っているところに、私は一番魅力を感じていて。 見た目だけではなく、中身もすごく魅力的な人。 そう思わせる彼は、もう何年も私の中で特別な存在であり、大切な人なのだ。 今ではお互いに時間の取りやすい毎週木曜日に会うようになっていて。 そうは言っても、毎回体を重ねるわけではなく、ご飯を食べて終わりという日もある。 女の事情もあるし、お互いの気分もあるから、それを確認するのだ。 まるで恋人同士みたいにお互いの気持ちを思いやる。 世間的なセフレとはきっとずれているんだろうけど、だからこそ続くんだと思うし、これが私たちのベストな形だった。 ○。
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