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楽屋の冷蔵庫開けたリーダーが、中から500mlの水のペットボトルを取り出して。
「はい、アイダちゃん」
ってまずは冷蔵庫覗き込んだまま俺に後ろ手で渡してくれるから。
「――あ。ありがと」
って受け取って、早速キャップ回してごくごく、と飲み始める。
自分の分のペットボトル取り出して起き直ったリーダーは。
一瞬のうちに半分は中身を減らした俺を何だかふにゃふにゃ笑いながら眺めて。
ぱき、ってキャップ捻って開封してから、こくこく、とふたくちくらい飲んだだけでまたキャップで蓋をしてしまった。
対して俺は。『これしか残らないなら全部飲んじゃえ』って。結局500ml全部飲み干した。
起き直ってラベル剥がしたら。くしゃ、って両手でペットボトルを捩って小さくする俺の手元をやっぱりじっと眺めてたリーダーが。
「いい飲みっぷりだなぁ、アイダちゃん。――俺のもあげようか?」
封切っちゃったけど。ちょっとしか飲んでないからどうぞ。なんて差し出してくれる。
「え?喉乾いてたんじゃないの?」
「んー。なんていうか…――アレがね?」
って、3人掛けソファで寄り添ってるニノと颯ちゃんの後姿に視線を投げる。
「え?――リーダーも仲間に入れて貰えばいいじゃない」
「いや、無理だろ。――俺は恥ずかしくて出来ない」
だからこっちに逃げてきたの。なんて言うリーダーに。
「え?どういう事?ニノには出来るけどそーちゃんには出来ないの?」
「できない」
リーダーと颯ちゃんがお付き合いをしてる、っていうのはもう5人の中では共通認識してることだから、今更二人とも隠したりすることは無いけど。
「皆の前で冗談でもあんなことやったら。生々しくなるだろ…――って何言わせるんだよアイダちゃん」
ああ、確かに。リーダーは多分ひとりひとりには聞かれれば、颯ちゃんとの事もあたりさわりのない話まではするんだろうけれど。
皆で居る時には絶対にそんな素振りは見せない人だ。
むしろ颯ちゃんの方が、リーダーの事皆の前でも構わず少し特別に扱ってるっていうのは、俺の卑屈な持論じゃなくて、ニノもルン君も解ってることだと思う。
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