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「それに車だってない」
「ハイヤーを呼べばいいよ」
「こんな山奥に?」
「来るさ。あなたが呼べば天からだって」
白馬の引く金の馬車でも
――言って笑うと。
「参ったな」
僕の減らず口に困り顔で
九条さんの方が口を噤んだ。
「でもやっぱり――」
「ふうん」
僕をここから出さないことが
お兄様方の間での取決めなんだ。
フェアであることを重んじる人だ。
だけど――。
「それじゃあ、ねえ」
「何だい?」
「僕がセロリを嫌いになった理由を聞きたい?」
いつまでフェアプレイの精神が持続するかな?
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