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「頼むよ――」
完全に焦点のぼやけた恋人は
僕の肌が仕舞われるのが惜しいように。
「死にそうなくらい君が欲しいんだ」
可愛そうなほど項垂れて。
羽織り直すガウンの襟元に添って
僕の肩先に――首筋に。
「ねえ、一緒にシャワーを浴びよう?」
いじらしい口づけを落としてゆく。
「ダメだったら」
それでも『うん』と言わない偏屈に
観念したのか。
「分かった。何でも君の思うとおりに――その代り」
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