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絹のストッキングに目を丸くして
からかうように笑う僕を残し。
「いいから早く着替えてよ」
九条さんは紳士らしく
一旦ハイヤーを降りた。
「やれやれ」
おかしな提案と思ったけれど。
窓越しに変身してゆく自分を見て思う。
僕が普通の女の子なら――。
誰もこんなに
悩ませやしなかったのかと。
次々と高価な装飾品を身に着けて
最後にファーを羽織ると。
「お待たせ」
僕はローヒールのパンプスをひっかけ
車を降りた。
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