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「わあ……」
振り向いた九条さんが
思わず感嘆の声を上げた。
「メイクは?しなくていいかな?」
照れ隠しのつもりで笑うけど。
「そんな必要ないよ――あるもんか」
九条さんは至極まともな顔つきで
女の子に化けた僕に見入る。
「正直、僕が今まで見てきた女の子の誰より可愛い」
「また」
「僕が嘘つけないの、知ってるでしょう?」
確かに。
車のウインドーに映る僕は
病み上がりなのも手伝って
一段と華奢でどこか幼い少女のようにさえ見える。
と次の瞬間――。
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