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「来世はどうだろうね?」
九条さんは僕と手を繋ぎ直し
再び前を行くと聞いた。
「そんなの決まってるよ」
「ん?」
「僕があなたに振り回されてるさ」
見てきたようにはっきり答える僕に
「どうして?」
大きな目を一際丸くする。
「だって……現世の罪滅ぼしだよ」
それこそ
因果応報っていうやつだ。
口ごもり
肩をすくめる僕に
「僕は――今と同じでいいよ」
「……え?」
雲の影に隠れた月を見上げながら
九条さんは答えた。
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