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「体が大きくなるケーキと小さくなる飲み物」
困り顔の白いシャツに
淡いストライプのエプロン。
「アリスのお茶会かい?それじゃ狂った帽子屋に三日月ウサギ、眠りネズミを呼んで来なけりゃ」
カウンターの向こう
呆れ顔で天井を仰ぐ彼に。
「ウソ。冗談。林檎を剥いて」
すかさずおねだりする。
「それなら僕にもできる」
白い指に握られる
僕の唇と同じぐらい赤い林檎。
九条さんはすぐ
器用に林檎の皮を剥き始めた。
「あなたは本当に何でも上手だね」
「何度も言うけど、君の扱い以外はね――さあ、食べて」
ガラスの器に盛られた林檎は
ウサギの飾り切り。
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