190人が本棚に入れています
本棚に追加
「僕が喜ぶとでも?」
今度はこっちが呆れ顔で
ウサギの耳を摘まみ上げると。
「三月ウサギの代わりさ」
九条さんは保育士みたいな笑顔で
屈託なく笑った。
「こっちに来て食べさせてよ」
その笑顔が余計に
僕の悪戯心に火をつける。
「いいよ」
こんなのはいつものことだ。
「はい、アーンして」
朝飯前だと言わんばかり
カウンター越し
九条敬は甘えん坊の口元に林檎を運ぶ。
のだけれど――。
最初のコメントを投稿しよう!