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まさか
立場が逆転するとは思ってなかったんだ。
「照れることないだろ?林檎のウサギ、僕だと思って味わってよ」
「いや……だけど……」
「欲しいものは何でも与えてくれると言ったでしょう?」
僕は意地悪く笑いを噛み殺し
「違うか。何を望んでもそれ以上のものを――だよね?」
一層挑発的に
林檎のウサギに口づける。
「君って奴は――」
すっかり罠に嵌った貴公子は
面食らった顔して頬を染め。
それでも――。
「好きなだけ見てろよ!」
狂った帽子屋と見紛う
狂った恋人を睨みつけ
ようやく口を開いた。
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