序章

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今日の気になるネットニュース【結婚したくない20代急増】 「ふ~ん。私もその一人だけど。」 スマートフォンのニュースをスワイプしながら電車に揺られて約20分程にある灰色にそびえたビルの一室が、私のバイト先だ。 「おはようございます。」 職員2人に挨拶をしてパソコンに向かった。作業内容に目を通して「確認」クリック。BGMもなく話し声もあまり聞こえない中で、郵送手続きや書類作成など与えられた仕事を黙々と行う。 単調な事務作業だけど嫌いじゃない。 お昼休憩は外食せず、持参したお弁当を食べる。来客に対応するキッチンコーナーにはコーヒーメーカーがあるしお湯も沸かせる。簡単な調理道具もあるし、電子レンジや冷蔵庫も完備しており、我が家より快適かもしれない。 再びパソコンに向かう。お昼過ぎから外線電話が鳴ることもあるので、受話器を右肩に挟みながら続きをしてる。 時計の針が午後18時を指すと仕事終了。仕事の1日はこんな感じ。今日も滞りなく終了し、電話を留守電に切り替えてから、斜め向かいに座る所長へ報告をした。 「先に上がります。」 「紗季(さき)お疲れさん。明日A社に行く際、愛花(まなか)は俺に同行するから、暫く事務所を頼むな。」上司の賢治(けんじ)から念を押された。 「わかりました。お疲れ様でした。」 「待って。紗季、一緒に帰ろうよ。」 同じくバイトの愛花が、ブランドのバック片手に声をかけた。それをめざとく見た賢治が笑顔で誘った。 「よし!皆で飲みに行こう。」 あーあ。夕食の下ごしらえしてきたのに。 「やった♪」 節をつけて立ち上がったのは翔太(しょうた)だ。私の肩をポンッと叩いた。 「ドンマイ。」 自炊してる諸事情を知ってるからこそだろう。 施錠して、4人で外へ飛び出した。
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