寿綾乃という女 第5話

-過去-

　自分以外の女がいる。

　男は気付かず、女は気付く。

　まさに絶好のアピール方法。

　そのアピールを、私は何度も経験した。

　その結果、男女の仲は解消。

　いつしか、ただの社長と秘書の関係になった。

　ただし、住居は変わらない。

　私とナオキ・ジュン君の親子が住んでいたマンションはナオキが出て行くこと
で、決着。

　私はジュン君の事実上の母親になった。

　いつのまにか、会社にやってきたジュン君の世話をするうちに、ナオキの家庭

に入り込んだ。

　そして、事実上のナオキの妻兼ジュン君の母。

　当時、１０数人しかいない会社の中では、大半が私とナオキの関係に気付いて

いたと思う。