第1章

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翌日は、第二希望校の受験日。 次男と私が蒼ざめていたのは、寒さのせいだけではなかった。 「と、とりあえず。今日は、全力で、ね」 声をかけると、次男は受験会場に吸い込まれた。 何度も何度も、弱々しく、振り返りながら。 「大丈夫ですよお」 応援にいらしていた塾の先生方が、声をかけて下さる。 その和やかな笑顔を見て、私の胸に、黒々とした雲が広がった。 私は会釈だけを済ませ、足早にその場を後にした。 お世話になっている先生方に、ひどい言葉を投げつけたくなかったから。
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