0.プロローグ

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「はぁっ…はぁっ…はぁっ………」 息を弾ませて走る。 「捜せっ!!」 背後で複数の足音が散らばった。 すぐにここを離れなければ囲まれる!! ………一刻も早くバイクに戻らなくては……… 朽ちかけた廃工場の内部。 淀んだ空気のカビ臭い匂いと、錆びた鉄の匂いが血液のそれを連想させて……吐きそうだ。 物陰に隠れて様子を伺う。追っ手は反対側に行ったようだ。 脱出口を探して辺りを見回した。 蝶番が外れて傾いたドアから男が顔を出した。 小声で短く俺を呼ぶ。 聞き覚えのあるその声に、焦って身を隠した俺はホッとして走った。
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