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「はぁっ…はぁっ…はぁっ………」
息を弾ませて走る。
「捜せっ!!」
背後で複数の足音が散らばった。
すぐにここを離れなければ囲まれる!!
………一刻も早くバイクに戻らなくては………
朽ちかけた廃工場の内部。
淀んだ空気のカビ臭い匂いと、錆びた鉄の匂いが血液のそれを連想させて……吐きそうだ。
物陰に隠れて様子を伺う。追っ手は反対側に行ったようだ。
脱出口を探して辺りを見回した。
蝶番が外れて傾いたドアから男が顔を出した。
小声で短く俺を呼ぶ。
聞き覚えのあるその声に、焦って身を隠した俺はホッとして走った。
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