1.三銃士

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その後、ワタナベ氏=ゼータからの連絡もなく、私たちは普段の生活を送っていた。 それぞれの日常に戻り、それぞれが真実を知りたいと願っていた。 私も教習所に通いながら仕事に精を出す。 そんなある日、就業時間を終えた私は、みんなのゴミを集めて回っていた。 白石部長のデスク横に置かれたゴミ箱を回収すると、見覚えのあるお菓子の包みがあった。 つい口に出した。 「あ!このお菓子!」 パソコンに向かっていた部長が私を見て照れくさそうに笑う。 「あはは。僕は甘いものに目がなくてね。小腹が空いた時に食べちゃった。」 「部長、あそこのお店ご存知なんですか?ケーキもクッキーも美味しいですよね。」 「ん?ふふ…秘書課に置いてあったのを失敬してきただけなんだよ。今度店の場所、教えてよ。」 ……よく知らないらしい。頂き物か。 私は店を教える約束をしてその話を切り上げた。
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