4.闇

2/163
346人が本棚に入れています
本棚に追加
/873ページ
空には雲が低く垂れ込めて切れ間がない。 しとしとと雨が降っていた。 ため息をついてカーテンを閉めた私はツナギにジャケットを羽織った上からレインウェアを纏う。 かなり太ったような感覚で動きにくい。 それでも外はずいぶん涼しくなっていたから、バイクで走れば寒いと感じる。だから脱ぐわけにはいかなかった。 バッグをビニール袋に入れて、ウエストバッグを着けるとブーツを履いて1階に降りた。 連休の朝が始まる。陸と二人きり、山梨、長野、新潟への長い旅に出る。 荷物をニンジャの後ろに括り付け彼を待つ。 5分ほどして陸がCBRに乗ってやって来た。右手を挙げる陸。私も応えてニンジャを押した。 「慎重にな!」 「了解!!」 陸に続いて走り出す。 雨粒がシールドに流れて視界が悪い。こんな状態で高速に乗るのは多少の不安があるけれど、陸について行けば問題ない。 環七で感触を掴み、以前と同じく永福から首都高に乗り高井戸から中央高速に接続する。 連休とあって行楽地に向かう車で混雑気味。 さほどスピードが出ていないから落ち着いて走ることが出来た。
/873ページ

最初のコメントを投稿しよう!