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『………ちひろ………』 忘れるはずもない。隼人の声だ! 陸が察して表情を変える。 私は慌ててスピーカーのボタンを押そうとして……… 「あっ!!」 ………切ってしまった。 半笑いで目を細くして睨め付ける陸。 私はわたわたと焦って携帯を持とうとしてとり落とす。 「慌てるなって。」 「だ、だってぇ………」 叱られた犬のようにショボくれていると━━━ 再び携帯が鳴り出した。 私は深呼吸をして携帯をテーブルに置いたままスピーカーボタンを押した。 「隼人……」 『……ったく相変わらずだな。慌てんな!』 「ごめんなさい!………隼人、元気なの?」 『うん。なんとか生きてるよ………陸もそこに居るんだろ?』
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