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そんな事を言ってのける陸が遠い人に思えた。
「陸っ!」
「悪いことは言わない。今のうちに自首するんだ。」
電話の向こうから隼人が低く笑った。
『………残念だけど。修斗のことはカラスに託(かこ)つけたオレ自身の問題だ。ちひろには悪かったと思ってる……だけど………どうしても許せなかった。』
「……隼人は修斗が憎かったの?」
『憎い?………違うな。何て言うか…………………オレがオトナじゃなかったんだ………辛い思いさせてごめんな。』
「……今は………………隼人に生きていて欲しい。どんなに苦しくて辛くても、修斗の命を奪った重みを背負って………生きていて欲しい。」
『オレ、意気地がないんだよ。オレに根性があったら修斗を殺る前にとっくに死を選んでいた………』
隼人の声が滲む。
幼い頃から肩身の狭い思いをして生きてきた隼人。
両親の所有物として生きることを強要されていた。
自分の人生を思うままに生きることを否定されていた。
真の彼を理解してくれる人が居ないまま、彼の心は…折れてしまった………
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