6.前へ

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「何かあったらすぐに電話するんだぞ?」 「うん。」 「晩飯、買ってきてやるからな。」 「ありがとう。」 「途中で電話するから!」 「しなくて良い。行きなさい!」 陸のしつこさが可笑しくて笑いながら怒った私に安心したのか、彼も笑って寝室を出て行った。 洗面所で歯を磨いて顔を洗い髪を整える。 靴下を履いてスーツを纏う。 私は枕に頭を落としたまま、気配で彼の仕草を追っていた。 「じゃあ行ってくる。」 彼が再びドアから顔を覗かせて微笑んだ。私も笑って手を振る。 「行ってらっしゃい。」 玄関の鍵が閉められた。
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