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改めて遠く離れてしまったのだと気付く。
寂しさがこみ上げた。
一人きりの状況が私を負の感情の渦に引き込もうと動き始める。
駄目だ。負けてはいけない。
陸を思い浮かべた。
彼はいつでも私を酔わせる。
意地悪を言う唇、私を抱く情熱の瞳、微笑みながら合わせる額と鼻、私を包んでくれる大きな手。
私には勿体無い位にカッコいい彼は周囲に隠すことなく大好きオーラを全開にして私を見つめる。
つい思い出し笑いを洩らした。
待ち合わせて帰る途中、食事をして帰ろうかという話になった。
私は最近オープンした、噂のイタリアンの店にどうしても行ってみたくて我が儘を押し通す。
お洒落な街のお洒落なお店。
人混みが嫌いな陸は渋々付き合ってくれた。
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