345人が本棚に入れています
本棚に追加
/873ページ
小坂さんは陸のお父さんに世話になった人だと聞いた。
甲斐あって現在の地位を築いた彼は日下部家と親しい付き合いをしているのだという。
どうやら私はお店でも日下部家でもあの店の料理を戴く事が出来そうだ。
それにしても陸ったら、興味が無いと話を聞いていないのね………
陸のそんな所が面白くて好きだ。
それがセレブ故のゆとりなのか陸がおおらかなだけなのかは分からないけれど、決して傍若無人に振る舞うこともなく、かといって人の目を気にすることもない。
それでいて気配りを忘れない。
目を閉じながらクスクス笑った。
改めて陸に出会えたことに感謝する。愛し合えたことを喜ぶ。
不安は消えていた。
隼人が修斗を殺した事実は変えられない。
彼を赦すことは出来ないけれど憎むことも出来ない。
恐らく修斗も同じ………
だからこそ、今は気持ちをニュートラルにして箱に仕舞って深い湖に沈めておこう。
時が解決してくれる━━━
明確な答えが出ずとも、尖った刺は丸くなり、いつか切ない思い出となる。
最初のコメントを投稿しよう!