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静かに席を立ち、彼の頭を抱き抱えた。ゆっくりと撫で、頭にキスをする。
陸は私に救いを求めていた。
日々私を抱くことで自分は汚れていないのだと確かめていたに違いない。
彼の腕が力を込めて私を抱き寄せる。
「……ありがとう、陸。辛い事を話してくれて………陸は陸だよ。貴方は私だけのもの。私だけのヒーローだよ?」
「………ホントに?ホントにそう思ってくれる?」
「うん!………だって陸は沢山の女の人とエッチしてきたんでしょ?過去に囚われていたら私はその女性たちみんなを殺さなきゃならないよ?………そうでしょ?………過去は過去。私は陸と未来を見たいの。二人で未来を作れればそれで良いの。」
「ちひろっ!ずっと側に居て!俺を見捨てないでくれっ!…………ずっとずっと、俺の側で笑っていて!!」
陸が、泣いていた。
嗚咽を漏らし、すがり付くように抱き締めた。
私は笑って彼を撫でる。
救い出されてから今まで、彼は辱しめを受けたと苦しんでいた。
その苦しみを少しでも無くしてあげたいと願う。
再び光に向かって真っ直ぐに立てるように支えていこうと決めた。
「見捨てたりしない。私こそ陸が居なきゃ生きられないもん………ずっと側に居る。ずっと陸を笑わせるからね。」
お腹に顔を埋めている陸が笑った。
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