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「…にも知らないくせに」
コーヒーを飲み終わった先生と共に、職員室へと消えていく。
先輩はバツが悪そうに金髪の頭をかくと、私の方へと歩いて来た。
「なん、か…悪い。余計なコトしたかも」
「いえ、分かったコトもありましたから」
問題ありません、と付け加えて私は再び正門の方へと歩き出す。
あの鎖は恨みに比例して短くなる。
この仮説はあっていた。
そしておそらく、鎖越しに瘴気を注がれ、先生の体力は確実にすり減っている。
分かったコトはある。
けど、違和感は消えない。
鎖じゃない。
もっと違う違和感が。
根底の、確実に食い違っている何かがある気がするんだ。
違和感が何かはまだ分からないけど。
あー、ダメだ。
頭パンクしそう。
「オトウサンってどんな感じなんだろうな」
突然どうした。
しかし私は素直に質問に答える。
「あーー…さぁ。どうでしょう。稼ぎ頭で、寡黙で…んー、手土産にお寿司とか買ってくるんじゃないですか?」
「お前のお父さん像どんなイメージなわけ?」
知らない。
私達は、オトウサンを知らない。
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