12日目:忘れていた感情

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「…にも知らないくせに」 コーヒーを飲み終わった先生と共に、職員室へと消えていく。 先輩はバツが悪そうに金髪の頭をかくと、私の方へと歩いて来た。 「なん、か…悪い。余計なコトしたかも」 「いえ、分かったコトもありましたから」 問題ありません、と付け加えて私は再び正門の方へと歩き出す。 あの鎖は恨みに比例して短くなる。 この仮説はあっていた。 そしておそらく、鎖越しに瘴気を注がれ、先生の体力は確実にすり減っている。 分かったコトはある。 けど、違和感は消えない。 鎖じゃない。 もっと違う違和感が。 根底の、確実に食い違っている何かがある気がするんだ。 違和感が何かはまだ分からないけど。 あー、ダメだ。 頭パンクしそう。 「オトウサンってどんな感じなんだろうな」 突然どうした。 しかし私は素直に質問に答える。 「あーー…さぁ。どうでしょう。稼ぎ頭で、寡黙で…んー、手土産にお寿司とか買ってくるんじゃないですか?」 「お前のお父さん像どんなイメージなわけ?」 知らない。 私達は、オトウサンを知らない。
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