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「おい、やめろったら!」
縮んだ鎖を横目に先輩が制止する。
「…らない」
「は?」
「知らないわよ!!!」
木陰に隠れている私でさえビクリと肩を揺らして強張るほど大きな声。
「なんだって言うのよ!!こんな父親!いてもいなくても変わらないじゃない!!!!」
瘴気を撒き散らしながら泣き叫び、えぐえぐと嗚咽を漏らしている。
「お前それ、本気で言ってんの…」
「っ…本気よ。だからなんだっていうの?」
「ふざけんなよ」
「っ!」
ガッシャンと鎖の金属音を鳴らし、先輩は胸ぐらをつかんだ。
「残念だったなぁ、女殴る趣味はねぇがよ。柊襲った罪は、わりとでけぇし。お前、むかつくわ」
ぱしん、と鋭い音がする。
先輩が女の人を平手ではたいたからだ。
「ふざけんなよ。死んでも良いだと?勝手なことぬかすなクソガキ」
涙目で赤くなった頬を触る女。
ぐしゃりと顔はゆがんで、鋭く突き上がった目で先輩を睨んでいた。
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