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「実際、私の父親なんて記憶にないですし。転々と色んな家族見てましたけど、お父さんってポジションの人、としか見てませんでしたし」
「持ってるやつがさ、それを手放そうとすると、持ってない方ってすげー虚しくなるんだよな」
「先輩、母子家庭でしたしね」
「俺も…そうだけど。お前だって、いなくて。お前もそれで傷ついてるのに、あんなコト言うあいつがムカついたんだ」
それって…
私の、ために…
「この間、屋上で死のうとしてたやつを、お前がとめただろ?その時…怒ってくれたからさ。俺のためじゃねーだろうけど、色んなやつのために怒ってくれただろ?」
あの時、怒ったのは何故だろう。
今までの私なら、無視してたはずなのに。
どうして…
あんなに…
怒ったんだろう。
誰かのために感情を動かすなんてコトしなかったはずなのに。
「言い忘れてたけど、ありがとうっ」
にしっとはにかむように笑う。
眩しくて。
ひまわりみたいな。
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