12日目:忘れていた感情

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「実際、私の父親なんて記憶にないですし。転々と色んな家族見てましたけど、お父さんってポジションの人、としか見てませんでしたし」 「持ってるやつがさ、それを手放そうとすると、持ってない方ってすげー虚しくなるんだよな」 「先輩、母子家庭でしたしね」 「俺も…そうだけど。お前だって、いなくて。お前もそれで傷ついてるのに、あんなコト言うあいつがムカついたんだ」 それって… 私の、ために… 「この間、屋上で死のうとしてたやつを、お前がとめただろ?その時…怒ってくれたからさ。俺のためじゃねーだろうけど、色んなやつのために怒ってくれただろ?」 あの時、怒ったのは何故だろう。 今までの私なら、無視してたはずなのに。 どうして… あんなに… 怒ったんだろう。 誰かのために感情を動かすなんてコトしなかったはずなのに。 「言い忘れてたけど、ありがとうっ」 にしっとはにかむように笑う。 眩しくて。 ひまわりみたいな。
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