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「先輩は…綺麗に笑いますね」
「!?」
「なんか、そう思いました」
「ど、どうした…?」
真っ赤な顔してあたふたとする先輩を眺めて、少し笑った。
「あの、話変わるんですけど。先輩はあの女の人が、本当に渡辺先生を恨んでいるように見えましたか?」
「?…恨んでるから悪霊なんだろ?」
「そう、なんですけど…」
「うーん…迷ってるなら」
「それで何故俺のところに来る」
先輩に連れられてきたのは、小さな公園。
奥には砂場や滑り台があり、公園の前の入り口には、事故の目撃者を探す看板が立てかけてある。
「いやー、分かるかなー、と」
先輩の知り合いなのだろうか。
40代くらいの男性の声だけが聴こえる。
「あの、先輩…どこにいらっしゃるんですか?」
「オナゴ、お前に俺は見えんぞ」
「…?」
「いや、お前にも俺は見えん」
「声は、聞こえます」
「そこの交差点で轢かれてな。事故の際、霊に具現化できないほどめちゃくちゃに潰れたのさ」
耳を疑うような言葉だ。
腕の毛穴がビビって開き切った。
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