13日目:遺した物とは

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「な、んなのよ…あんたら!」 「さぁ、乗りかかった船ですから、乗っちゃったーみたいな」 「ほっといてよ!!」 「では何故泣くんです?」 「…っ!!」 発狂に近い香奈さんの声が止まる。 独り言を言っているようにみえる私を見て困惑している先生に、もう少し待ってくださいとアイコンタクトをする。 「わた、しは…要らなかったのよ。だからあの時だって…っ!」 あの時? 「先生、失礼ですが香奈さんの死因は?」 「轢き逃げ…だったらしい」 切な気に下を向き、奥歯を噛みしめるようにそう答えてくれる。 こんな顔をするのに、愛されてなかったのだろうか。 「あの時、というのは事故直後ですか?」 かしゃん、と鎖の音を立てて頷く香奈さん。 「何があったんですか」 おそらく、事故直後、香奈さんの中に爆発的な恨みや哀しみ、淋しさが生まれたんだ。 「電話、を…」 「電話?」 「かけたのよ。父さんに…」 ズレていたモノが少しずつはまっていく音がした。
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