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「お疲れ様でーす」
私は、スーパーのバイトを終わらせると、初給料である封筒を握りしめて職場を出た。
明日は父さんの誕生日。
いつもぶっきらぼうだし。
たぶん私のコトも嫌いだろうけど。
誕生日くらいは何かしてあげたくて、内緒でバイトして、ネクタイと小さなケーキを買って家に帰った。
「遅くなったな…」
携帯を見ると22時45分をさしている。
随分と遅くなってしまった。
「香奈」
帰ってきたら、すごく怒っているお父さんがいた。
「こんな時間まで何をしていた」
まだだ。
まだ言いたくない。
ちゃんと誕生日に言いたいからと、私は時計を見た。
「何でもないよ」
「そんなわけないだろう!!」
「違うってば…っ」
「何が違うというんだ。こんな時間までふらついて…っ!」
「フラついてたわけじゃないしっ」
遅くなったのは私が悪いけど。
けど。
そんな怒るコトないじゃん。
「まったく。恥ずかしい」
恥ずかしいって…何よ……
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