13日目:遺した物とは

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「もう良い」 私はそのまま部屋に入らず家を飛び出した。 「え…っ」 ボーッとしてて、気づかなかったんだ。 買ったばかりネクタイとケーキを持ったまま、私は轢かれた。 信号無視だと思う。 私は朦朧とした頭でポッケからスマホを取り出した。 画面に映った文字は【お父さん】 電話をかけた。 死ぬかなー、なんて思ってて、喧嘩別れなんて嫌だもん。 けど、出なかった。 出てくれなかった。 電話に出ないなんて結構あるコトだったけど、今日はどうしてもやるせなかった。 何で? どうして? 昔からいつもそう。 こっちを向いてくれる時なんてなかった。 私のコト嫌い? 淋しい 淋しい 淋しいよ… ねぇ、お父さん。
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