13日目:遺した物とは

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「結局、私は昔からいらなくて…。この人にとっては、”生徒”の方が大切だったのよ!!」 ポタポタと流れる涙は空気の中に消えて、より一層儚く、そしてとても哀れに見えた。 「先生、香奈さんの事故直後に電話はありましたか?」 「え?あ、あぁ。すぐ掛け直したけど、繋がらなくてな…」 ずっと… すれ違っていたんだ。 こんな顔をするんだよ? 渡辺先生は、間違いなく、オトウサンの顔をしてるよ。 「”生徒想いの良い先生”というのが渡辺先生への印象だそうです」 「…?」 渡辺先生が不思議そうに首を傾げた。 鎖の向こうの香奈さんも、あがった息を整えながら私の言葉を聞こうとしている。 あれだけ逆上して、感情が動いていても人の話を聞けるのは、きっととても良い人だからだろう。 「では、渡辺先生はどうして生徒想いの良い先生を目指したんでしょう」 「…?そんなの、教員なら当たり前の感情じゃないの?」 香奈さんがポツリと呟くように、意見してくる。
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