13日目:遺した物とは

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「それだけでしょうか」 「…?」 「”パパは先生してる時が、1番カッコ良いね”」 「……?…!!なっ!何でそれを柊が知ってる!」 少し恥ずかしそうに慌てる渡辺先生。 職員の情報はまず職員室から。 聴いてみればポンポンと出てくるものだ。 「昔、娘さんから……香奈さん、あなたか ら言われた言葉だそうですよ」 見に覚えがないのか、困惑気味に香奈さんは先生を見た。 「教員というものは、仕事量のわりには給料はそんなに高くない。娘さんに少し淋しい思いをさせても、大学進学をさせてあげたかったなら、そりゃあ仕事に熱が入るでしょうね」 「…大学、しんが、く……?」 「父親らしく、大学の金は心配するなと言いたかったんでしょう?」 先生はベットに座ったまま顔を赤くしている。 「男っつーのはいつも不器用なんだよ。渡辺だってさ。意地もあったし、見栄もあったんだと思う」 後ろに立つ先輩がそう呟く。 「先生、聞かせてください。あなたの言葉を」 きっとそれが、鎖を壊す鍵となる。
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