いつか君と

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いつか君と

小さな身体 大きな産声 丸々とした背中 柔らかな髪 ぎゅうっと胸で抱きしめたのに ふわりと頬を撫でたのに  いつからだろう この手を離れ 君はひとり 歩き始めた 前だけを見て 確かな足取りで 振り向きもせず 声さえも上げず ママは いいえ 母さんは 君に拍手を贈れなかった はなむけの言葉も 感謝の言葉も 祝いの言葉も 激励の言葉も カラカラカラと 心の中で 何度も何度も 空回る 未来に向かう 君に背を向け 過去の記憶を 辿ってた 母さんは いいえ 私は 遅ればせながら 自分の道へ 久しぶりで 震えるけれど 繋だその手は もうないけれど 小さな一歩を 踏み出してみるね 負けないように 悔やまぬように だから君は もっともっと 背伸びして 足を伸ばして この世界を 自由に旅してごらん 美しいものを たくさん見つけるんだよ いつか君と どこかで出会えたら 惜しみない拍手を贈らせて
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