誰にも言えない。

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 だけど、今日の私は一味違う。    用意したのは、お父さんの超望遠カメラ。  昨日の夜、新しく買ったのだと自慢してきたから「どれだけ良い性能か確かめてあげる」だのなんだのと言いくるめて持ち出してきたのだ。  使い方に関してはちょっと不安もあるけど、普通のデジカメと変わらないって言ってたし大丈夫。    叶太くんは給食後は校舎裏の花壇で家庭菜園の手入れをしているのはリサーチ済み(何故菜園を作っているのかは謎)。  昼休みでざわつく教室をそっと抜け出し、校舎裏に向かうとまだ叶太くんは来ていないようでホッとしつつ影に隠れた。  念入りにカメラの使い方を確認して、同じアングルでは撮らないようにとスマホ内の叶太くんの写真を見つめる。  そこで、ふと気付いた。  ……私、やばくない?  両手で持つのもちょっと厳しいカメラを首にかけて物陰で息を潜める。  この状況、やばくない? すっごく怪しくない?  これ見つかったら生徒会長としての威厳が無くなるどころか学校に居られなくなるのでは。  隠し撮りが趣味の女子中学生とかやばい。色んな意味でやばい。お父さんが泣いちゃいそう。  途端にこの状況が怖くなって、持っていたサブバッグにカメラを押し込もうとするも、つい焦ってしまって紐が絡まっていく。
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