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しかし、しっくりこなかった。なぜならば自分という出題者が出した意図、誰も死なないで欲しいという意図を捉えながらも、それを確実に示せる方法を提示できていなかったからだ。整理してみれば自分の悩んでいたことが途端に簡単に見えてきた。そうすれば、戦って誰も死なない傷つかない方法を考えるより戦わない様にする方法がいかに確実かも分かる。そこまで分かれば一分一秒が惜しい。二人を止める為に走るだけだ。まずは、ティーチか?いや、所在のつかめないティーチを探すよりは行動範囲の狭いアキラの方が簡単に見つかるはずだ。まずは、いつも勉強会をしている我が家、グリーンの温泉宿に向かおう。そして、必ず説得するんだ!!
…………。
結論から言うと、息を切らして我が家に到着したオイラはアキラに会う事が出来なかった。代わりにグリーンに全てを話して、ティーチへの伝言をお願いした。グリーンは快く味方になってくれた。今更ながら一人で悩んでいた自分の愚かさに気付く。だが、それもどうだっていい。いまは少しでも早くアキラを見つけることだ。すでに鉛の様に重くなった足に鞭打って走った。アキラが好んだ公園、剣の修行に使っていた裏山、必死に探している間も時間は過ぎていきとうとう初夏の長い日さえもが傾き赤みを帯びていく。くそっ!夕焼けってのはどうしてこうも沈むのが早いんだ。絶景としてよく紹介されるその姿も、今のオイラには残された時間が無くなっていっている様に見えて不愉快だった。夕日は沈みゆく。その経度に従い、影が伸び、オイラの行く手を先行しながら急かしてくる。夕日が夕闇へと変わる頃、ようやくオイラはアキラを見つけた。辺りは暗くなり、山に殆んど隠れた夕日は線の様に細い赤を輝かせている。
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