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放課後の教室、俺とあいつは2人きり。スマートフォンでゲームしたり雑談したり…
ふとした瞬間目が合う。俺は癖で目を逸らす。
「ちょっとこっち見て。」
「なんだよ。」
目の前でお前が言う。
逸らした目を戻しもう一度見つめ直す。
1つの机を挟んでいるとはいえとても距離が近い。
元々コミュ障のせいか脈拍も少し上がっている。まあ、理由はそれ以外にもあるが…
「まつげ、ゴミついてる」
綺麗な細い手が顔に近づく。反射的に瞼を閉ざす。
その指が目に触れると思っていたが意外なところから感触が伝わってきた。
軽く唇と唇が触れ合う。
「へへ、油断してただろ。眠そうにしてたから…刺激になった?」
こいつ、あざとい表情しやがって…
「バカ、学校だぞ?誰かが見てたらどーすんだよ。」
「声裏返ってるからー、顔真っ赤っかだよ?」
「それは、お前がいきなり!あんなこと…するから…!」
「あれ?キスって言うのも恥ずかしいの?ウブだなぁ。」
そうやってすぐからかって…!仕方ないじゃん!恥ずかしいものは恥ずかしいから…!
「どうせ高校卒業したら会えなくなっちゃうしさ、たまにはいいんじゃない?」
そう、この関係も会えなくなってしまえばきっと自然となくなる。それは俺とお前が男同士でありこの国が日本という国であり、このような関係性にまだまだ偏見がある世の中で仕方ないこと。それは分かっているがこういう時間がたまに切なくなる。
だからもう一度
今度は俺からキスをした。
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