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「美人すぎる、営業ウーマンでしたっけ。旧財閥系総合商社で二十代にして、初の管理職加えて女性……当時相当話題になってたみたいですね。テレビ番組のメインパーソナリティーもやってましたし。美人すぎるはなんだか蔑称な気がしますが」
「もう昔の話しです」
「昔……そうですね、あなたを筆頭にウーマンリヴの潮流が盛んになり後続の方達がテレビはもちろん、ネットに進出し流行にもなりましたよね」
煩わしそうに祐子は話題を切り替える。
「私の昔話はいいじゃないですか、今は退職して主婦してるだけです。本野さんの件はどうしたんですか?」
「ええそうでしたね、悟君。彼、二ヶ月前から行方不明になってるんですよ」アリスは事務的に答える。
祐子の顔色がみるみる青ざめ、カップに注いだコーヒーを飲み干す。「行方不明ですか、彼が」
「だけど、アリス不思議なんですよ……すみません、中々キャラが抜けなくてごめんなさいにゃ」
八重歯を見せ、年上男へ甘える様にアリスは笑顔で謝る。
「あんた、バカにしてるんでしょ!?」
「バカにしてませんってば、ふええ」
媚態から、彼女がターゲティングした層に受けるのだろうと祐子は腹立ちながら、冷静に分析する。また彼女もテレビに出始めた際には、女性の武器を十分に理解し立ち回っていた。
「空気も温かくなってきた所で、成澤さん。改めて質問です、悟君の事で何か知っていたら教えてもらえないでしょうか?」
「どうして、見ず知らずのあなたが彼の調査なんて」
ため息をつき、眉間に皺を寄せ、アリスは人差し指で皺をつつく。
「プライベートって言いませんでしたか、今回彼から直々に依頼があったんですよ」
「えっ、連絡とれたんですか?」
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