パンダの需要

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で、と彼女が言う。 「榊君は」 ぱちん、とホチキスの音が響く。 「どうして、ここに?」 どうして、と言われても。 「担任に頼まれただけだけど」 「頼まれた?」 彼女は手元の資料に目を落として、言った。 「……わたしもよ」 一年のとき、クラスは違うが彼女と同じ時期に図書委員をしていた。 今はクラスも委員会も違う。 他に接点がないのだから、当然話は弾まない。 黙々と僕等はプリントを折り、順番に重ね、ホチキスで閉じ続けた。
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