女としての、美意識のちがい。

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女としての、美意識のちがい。

いろいろな職業をしてきたけれど、私に向かないと一番感じたもの。それは、夜のお仕事。いわゆる“お水”の商売。 私の根本的なものとして、化粧をする習慣がない。“着飾る美”を普段からするのが好きな性分ではないのだ。 私が好きなのは、“自然体の美”。だから、基本的にするとしても、ナチュラルメイク。しかし、夜の仕事ではそれは許されない。何度、「ちゃんと化粧してる?」と突っ込まれただろう。 化粧を否定しているわけではない。美しく着飾っていて、本当にそれが自分だと振る舞える人たちならいいと思うの。けれど私にとって、自分が着飾っている姿は、“特別”であって“自然”ではない。それを常に強要される世界がひどく居心地が悪かった。 自分を売り込んで、お客さんに楽しんでいただくこと。その、根本的な接客の意識から逸れたことはしていないつもりでいた。艶やかに誘惑する美を持つ人がいれば、こういう女がいたって面白いじゃないかと。偽りの自分を出すことに抵抗がある、という表現が一番近いかも知れない。夜の仕事をしていたのに、嘘を吐くこともしたくなかったから。 美意識にも色々あって、外見もあれば内面もある。好みの問題でもあるから、私みたいに自然体を磨きたい人だっている。 外見の話でいうなら、私は髪が傷むのはすごく嫌い。故に、日々の髪のお手入れには力を入れている。けれど、外を出歩くときにセットはしない。肌もそれなりに同じこと。 もしどこかへ遠出することになって、私だったら、沢山の洋服やアクセサリを詰めた重たい荷物を抱えて、感覚として違和感のある化粧をして着飾って行くよりも、体一つに最低限の荷物で出掛けたい。颯爽と、いつでも、どこへでも行かれるように。そんな姿の方が、格好いいと思う。
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