伝えること。

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伝えること。

私の周りには、マクロな問題に思いを馳せて心を砕ける人がたくさんいる。世界中に蔓延るもの。それは、戦争。それは、震災。たとえば、虐待。あるいは、病気や事故。分かりやすくて、とても大きな問題だ。 誤解をしてほしくはないのだけれど、この問題に置いて私は興味がないわけでも軽視しているわけでもない。それが重大なことなのだと訴えて伝えられる人が、ちゃんと問題を理解して伝えられる人がいると思うので、私はこれをマクロな問題という枠組みで呼んでいるし、私の伝えるべきことではないと思っている。 分かりやすく痛みが分かるものだから、人は声を掛けることも助けることもできる。自分には荷が重いから、面倒だからと目をつむる人もいるだろう。 でも、もっと身近に、もっと世界中に、マクロの問題には目を向けられないくらいミクロなことで悩む人たちがたくさんいる。問題が大きいか小さいか、なんてことは、それを主観で見られる人と客観視しかできない人では随分とちがうものだ。 私が伝えていきたいのは、そんなミクロの問題。ミクロの世界。 以前、原発被災地出身の方とお話したことを例に挙げてみようと思う。 その方は、被爆で苦しむ人たちと、それを取り囲む周りの人たちのことでひどく心を痛めていた。私はあくまでも遠くの事件としてしかとらえられていなくて、想像力も乏しくて、知識も全然なかった。知らなかったのだ。まさか現地でさえ、被爆で苦しむ人を見て見ぬふりをする環境が生まれているなんて。身近な出来事なのに、興味がないという人たちがいるなんて。彼はそのことに、ひどく危機感を覚えているようだった。 そこで、彼はそれをwebページを開設してブログで伝えようと友人にそのページとともに訴え続けた結果、友人すべてが離れていったのだと私に話した。絶望した、と嘆いていた。 彼が話す、彼や彼の周りにとっては身近だけれどマクロの問題。けれど、私がそれを聞きながら気付いたのはミクロなことだった。
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