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見上げると、真っ暗な空に直線的な光が何本も走っていた。それは徐々に太くなって、四角い形を切り取る。
壁?
だから暗かったのか。
機械音と共に少しずつ姿を現すそれは、まるでサイコロの展開図みたいに六つのパーツに分解された。
途端に辺りが明るくなって、眩しさに顔をしかめながら見渡すとそこは道路のど真ん中。赤く染められたアスファルトに白い縞模様が走る、スクランブル交差点だった。
周りには、何が起こったのかときょろきょろ見回している奴らがざっと二十人くらいいた。皆、自分と同じ十から二十くらいの若者で、そのほとんどが男だ。
やっぱり、俺以外にも『箱』の中に人がいたんだ。
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