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サイレンを合図に、皆方々へ散らばってゆく。
「……畜生ッ!」
ひとつ悪態をついた俺はMを後方に捉え、西側へ向かう。
前を走っていたはずが、いつの間にかMに追い抜かれていた。
ちくしょーめ。
俺は運動が苦手なんだよ。
無意識。ずっと地下にいたからなのか、目に入った地下鉄の入口に駆け込む。
とりあえず、目につく場所からは離れた訳だが、全く面倒なことに巻き込まれちまった。これが単なるかくれんぼなら、ずっと隠れていりゃいい。
上がった息を整えつつ、握り締めていたスマートフォンを覗く。画面には、リミットまでの時間がカウントダウンされていた。
鬼が放たれるまで、あと約一時間はある。兎に角、捕まったらやばいのは確かだ。
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