511人が本棚に入れています
本棚に追加
一向に逃げようという気配のない彼女の姿に、元よりそれほど速くない足が躊躇いに鈍る。
もしここで置き去りにして、そしたらどうなる?
自力で逃げられるって感じでもない。
鬼に捕まって、それで……排除される?
「くそっ!」
そんなの、例えこのゲームをクリア出来たとしても後味が悪い。
まだ時間はある。北の大通りへ曲がる足を止めて踵を返し、しゃがみ込む女のもとに向かう。
「カケル!?」
背後でMの声が聞こえたが、立ち止まる気はなかった。
最初のコメントを投稿しよう!