ゲームスタート

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   一向に逃げようという気配のない彼女の姿に、元よりそれほど速くない足が躊躇いに鈍る。  もしここで置き去りにして、そしたらどうなる?  自力で逃げられるって感じでもない。  鬼に捕まって、それで……排除される? 「くそっ!」  そんなの、例えこのゲームをクリア出来たとしても後味が悪い。  まだ時間はある。北の大通りへ曲がる足を止めて踵を返し、しゃがみ込む女のもとに向かう。 「カケル!?」  背後でMの声が聞こえたが、立ち止まる気はなかった。  
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