とある日

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私の住むマンションは、8階建てなのだが、私は6階に住んでいる。 眼前には、いつもと変わらない景色が広がっていた。 ふと、目線を下に下げた。道路では、人々が走ったり、転んだりしていた。そんなに慌てなくても。私は苦笑した。 朝はまだあるのだから。 逃げ惑う人々がいる一方で、道ばたに座り込んでいる人もいた。逃げ惑う人々より、幾分朝を楽しんでいるように見える。 その景色を見ながら、タバコを吸おうと箱に手を伸ばし、箱を開けると。 あれ......。無い。 私は昨日の自分を呪った。吸うのを楽しみにしていたのに。 仕方がないので私は、窓を閉めて、出かける準備をした。 ドアを開け、鍵をかけ......。この動作は久しぶりだ。最近外に出ていないのだ。
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