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もっと素直に認めてくれることを祈っていたけど、やはりそういうわけにはいかなかった。 「権藤先生から転送されてきたんです。圭吾さん、送り主はあなたです」 ちっと短く舌打ちをすると再び圭吾さんは腰を下ろした。 「あぁ。送ったよ。だから何だよ。それが盗んだ証拠になるってわけ?ならないよね」 確かにそうだ。 盗んだ証拠にはならない。 でも、彼が堀田と関係があるということの証明にはなる。 そしてもう一つ。 彼は大きな罪を犯している。 「確かに盗みの証拠にはなりません」 「ふっ…だろうね。忠告しておくよ。ちゃんと裏を取ってから物事は発言するんだな。俺は温厚だからいいけど、犯人扱いされていい気はしないからね」 腕を組み、深く背もたれに寄りかかる。 「ではもう一つ。東雲さんをホテルに連れ込んで、脅迫までしていた件についてはどうなんですか?」 余裕な表情が一変した。 「は?俺が葵を?」 「え…?春川さん。それ本当なの?」 さっきまで私達のやりとりを黙って見ていた東雲さんが大きな目をクリクリさせながら私を見つめた。 「えぇ。二年前、東雲さんを脅迫していたのは圭吾さんです。権藤先生ではありません」 権藤から聞いた驚愕の事実。権藤は東雲さんを襲ったりしていなかった。 「権藤先生は酔い潰れたあなたを介護している時に圭吾さんに会ったそうです。ちょうどその時に病院から呼び出しの電話がかかってきて、あなたを圭吾さんに託したと言っていました」 「うそ…」 「ホテルで目が覚めた時、誰もいなかったんじゃないですか?」 「…そうです。お金だけ置いてあって…てっきり権藤だとばかり……」 口元を手でおさえ、動揺を隠せない東雲さん。それもそうだろう。ずっと誤解したままだったんだから。 「だから、どこにその証拠があるわけ?身に覚えのないことばかり…。さすがにこれは温厚な俺でも怒るよ?」 「ありますよ」   
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