嘘つきは泥棒の始まり?

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「せんせ、……えっと、ゆずは なんで医者になったの?」 「んー、 まあ、俺頭良かったし。周りに勧められるがままって感じかな?」 落ち着いた雰囲気のカフェ。 ステンレス製のカップに注がれたコーヒーを優雅にすするゆずはムカつくくらい様になっていて、思わず見惚れてしまうほどだった。 小さな窓から入るオレンジ色の夕焼けがさらに色気を掻き立てる。 「みかんはなんで検査技師なんてマイナーな仕事にしたの?」 「病気を診断するのには根拠が必要でしょ?その根拠はどうやって見つけるのかなって思った時に検査技師っていう仕事に出会ったの。診断の役に立つような検査ができるって素敵だなって思ったから、検査技師になった、って感じかな?」 「へー。意外とちゃんと考えてるんだ」 「意外って余分なんだけど」 くすくすと笑うゆず。 「褒めたつもりだったんだけどな。 仕事してる時のみかんはすげー魅力的だよ。 俺結構好きだし。 ちゃんと考えてるって感じで」 「な、何それ?」 好きというフレーズに突然心臓がバクバクと急ピッチで走り出す。 ただ、仕事してる姿を褒められただけなのに。 落ち着け、みかん。 そんな私を他所に余裕綽々なゆず。 気持ちを落ち着かせようと手元のカップにたっぷり注がれたカフェオレを喉に流し込んだ。
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