同居人

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「あぁ、 俺は小林柚希(こばやしゆずき)。 大家から聞いてなかったのか?」 「いや、聞いてたけど…」 「じゃあ何?」 「女だと思っていたので」 「男だけど」 「見ればわかります」 少し茶色みがかったふわふわな髪。 中性的な顔立ち。 男受けも女受けもしそうな整った顔。 だけど、どこか冷たい、そんな印象の男が リビングのソファーから私に視線を送る。 「座れば?」 どこか上から目線の男に もやっとした感情が生まれる。 何こいつ。 なんでそんな偉そうなの。 というか… 年頃の娘が見知らぬ男と一つ屋根の下って、 おかしいでしょ?普通。 私の考えていることはお見通しと言わんばかりのこの男。 「大丈夫。 取って食ったりしないから」 ニヤリと口角を上げる。 「………っ!」 思わず動揺する私とは対照的に男は余裕な表情。 すっと立ち上がり立ちすくむ私へと歩み寄る。 私も身長は割と高い方だけど、見上げてしまうほど高身長な男。くいっと私の顎を引き寄せると 「俺にも好みってもんがあるから」 不敵な笑みを浮かべた。
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