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「何を言っているのかよくわからないな。どこにそんな証拠があるの?」
ふぅ、と一息つくと圭吾さんは近くにあった椅子に腰をかけた。
彼がこう言ってくることはだいたい予想していた。
怯むな、みかん。
大丈夫。みんなが側にいてくれるから。
周りを見渡すとゆずも、東雲さんも細川先生も大きく頷いた。
回りくどいことはしなくない。
私は一気に圭吾さんに事実を突き付けた。
「権藤先生から聞いたんです。全部。あなたから盗んだ資料が送られて来たって。堀田の指示…なんでしょ?」
一瞬目を丸くした圭吾さんは、はははっと乾いた笑い声を響かせた。
「ごめん。ついつい…。権藤…か。みかんちゃん、あんな奴の言うこと信じるの?俺を陥れる嘘かもしれない。実際、そのメールを確認した訳じゃないでしょ?」
どんどんボロが出て来た圭吾さんの様子を見てやっぱり間違いなく、権藤を操っていたのは彼だと思った。
ゆずはただじっと私と圭吾さんのやりとりを見ている。
「メール…。私、メールで送られて来たなんて一言も言ってないですけど」
するとさっきまで笑顔だった圭吾さんの表情が変わった。
「さっきから何なの?突然。人の揚げ足とるみたいなことばっか言って。今のご時世、送られるって言ったらメールだって思うでしょ?みかんちゃん、悪いけど俺忙しいんだ。こんな茶番に付き合ってる暇無いんだけど」
やってられない、と肩をすくめた彼が席を立とうとした。
「………ここに証拠があります」
携帯の画面をかざすと圭吾さんの動きが止まった。
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